牛の鈴音

今年、韓国で大ヒットをした、ドキュメンタリー映画の牛の鈴音という
作品が日本で上映される。12月19日〜。
その試写会が10日にあった。
ひょうんなきっかけで、その試写会で配られる、ハンカチのデザインをすることになった。
僕でいいの?とも思ったが、お話が来た時点で色々な考えがあっての事だろうと思い、一生懸命やらせてもらうことにした。
一部の後輩から予想通り皮肉で僕でいいのかみたいな話があった。


最近色々考える。
皮肉や嫌味を言われても無視する。結局口だけの人は何もやらずに終わると分かっているから。
どんなに偉そうなことを言ってもあなたたちは途中で辞めるでしょ。そういう人ばっかり。
失望を繰り返してきた。自分が今、ここにいること。それに意味を感じている。
世の中で実際に何かを作り出していく力。
クリエイションとプロダクトの違い。
創作と制作と想像の違い。
現実と理想の違い。全部が混濁としている。
自分に来た仕事は自分に対する信頼や、なにがしかの期待の裏返しだと思う。
まずはそれに応えていくこと。
自分の力が足りなかったとか、未熟だったとか、時間がなかったとか、お金がないとか、アイディアが足りないとか、調子が出なかったとか、悩んでいたからとか、全て理由にしない。
ただ、ベストを尽くそうと努力してやっていく。


牛の鈴音はなんでもない映画だ。
これは誉め言葉として言うのだけど、
この映画には有名な俳優とか、派手な演出は一切無い。
韓国の田舎に暮らす老夫婦と牛の話だ。
何にもない素朴な暮らしの中で人間が人間らしく生きるとはどういうことなのか、考えさせられる。
同時に現代人が失っている様々なものを思い返すきっかけとなった。


自分の親のことについてしばらく考えていない人に。
殺伐とした生活を見直したい人に。
親不孝者に。
家族について今一度考えてみたい人に。
全てお勧めする映画。


僕はこの映画を見ながら父や母のことを考えていた。
その年に作った米を自分が食べるより先に9人の息子娘に送る、老夫婦の姿を見て涙した。
人生を共にした牛に心を込めて感謝する。






試写会前の挨拶でハンカチについて述べてもらっている所。




牛の鈴音の監督とツーショット。



監督のイ・チュンニョルさんにハンカチの感想を聞いた所、
牛やおじいさんのイメージがぴったりで良いとのこと。
とても嬉しかった。


映画についての詳細は↓
http://www.cine.co.jp/ushinosuzuoto/