「第四世界」(インディーズ映画上映イベント)が終わりました <報告>

■「第四世界とは」

 映画上映イベント「#第四世界」が9月8日で終了いたしました。#横浜 の「シネマ・ジャック&ベティ」が会場。私の監督作品「#過去未来通信」は昨日の最終日に上映されました。

 第四世界とは、インディーズ映画作品を方々から募集し、映画館で上映するというイベント。今回は44作品が集まりました。


 以下、主催者の二階堂方舟さんの開催概要コメントです。

「第四世界は、ありとあらゆる多様な映像作品を映画館で上映する企画です。

映画館の魅力は、大きなスクリーンと大音響で映画の世界に入り込めることだけではありません。不特定多数の人間が同じスクリーンを見、あらゆる感情を共有することで、「熱気」のようなものが巻き起こるのです。

これはやはり映画館でしか体感できません。」

 

 映画に対する熱い想いをお持ちの主催者。映画館のスクリーンやその空間感にただならぬこだわりをお持ちの方の様子・・・。というのは、主催者の二階堂さん自身も映画監督であり、「第四世界」においても

・「愛惨惨」(9/2上映)

・「ナイトコマンド」(9/3上映)

・「川崎ナイトコマンド事件」(9/4上映)

・「utopia of the dead」(9/6上映)

・「殺す」(9/7上映)

などの二階堂監督作品を上映していました。(ほぼ毎日二階堂作品に会えるやんけー!)

他にも「Like a Bubble」(9/8上映)では助監督を務められていて、ほぼ毎日二階堂臭のする映画祭となっていた。(濃いね)

 個人的にこういう我の強い企画が好きなので参加させていただけて本当に良かった。

 

 

 

■劇場公開するということ
 世の中に #映画 は数多くあるけれども、自主制作映画は完成しないことが多くある。

私の知り合いでも撮影開始から映画の完成まで2~3年かかっていたこともあったし、自分自身も撮影を終了したものの、その後の編集でかなり難義して完成がかなり遅れてしまったという経験もあった。知人の話で撮影はしたものの、その後頓挫して完成しなかった話も聞く。自主映画作品は、まず完成したこと自体が評価されてよい点なのです。

 仮に完成したとしても次のマストが待っている。映画が存在するためのアイデンティティに関わることですが、それは「公開する」ということ。私は映画は公開(上映)しなければ作らなかったことと同じことだと思っています。映画は他者の目に触れることで完成するのです。映画が完成することとは、他者の目に触れる準備ができたということに過ぎません。

 実際のところ、#インディーズ映画 を「作ったもののどうやって上映してよいか分からない」「会場の準備(探すことや交渉事)が難しい」ということもあると思います。

 映画は作ることと同じくらい公開(上映)する環境を作ることが大変なことなのです。どうやって多くの人に観てもらうか。

 自主企画するのは本当に大変なのでこうやってインディーズ映画を集めて一気に見られる場があって、そこに参加させていただいて光栄でした。第四世界に出品された作品(+監督)はまずこの二点をクリアしている点で私はその全てに敬意を持っています。作品の評価はその後のことでよいと思う。

 「過去未来通信」もやっと初めての劇場公開をすることができました。一緒に作ったスタッフさん、力を貸してくださった方に報いるためには作品の完成と上映、この二点に関して監督は誠実でないといけないと思う。

 作品のクオリティはともかくまず完成させ、そしてどんな小さな場でも上映すること。他者に鑑賞してもらうこと。ここが大事だと思う。(モチのろん、クオリティも大事よ) 
 当日、私も参加させていただきましたが、クオリティもジャンルもメッセージ性も本当にバラエティ豊かな映画イベントだったと思う。当日は台風の日に当たってしまったため、かなり厳しい環境でしたが、良い刺激をもらいまして今後の創作意欲が湧いてきました。

 

 

 

■当日の様子

上映終了後は舞台挨拶がありまして、当日は8作品の上映だったのでそれぞれの監督が登壇してトークをしました。うちは私と主演の #唐澤一路 くんと二人で舞台挨拶。

 

・舞台挨拶の様子はこちら
https://youtu.be/0DcCzh7gfiw

 元となる映像を見てないとちょっとわからないと思うけれども、またいつか上映イベントがある時のために興味を持っていただければと思います。

舞台挨拶



 イベント終わったのが夜11時過ぎてて、そこから唐澤くんが終電無くなってるのが確実だったのでうちの車で一緒に帰った。
 帰り道で今日見た作品についてあーでもない、こーでもないとずっと作品の話をしてて。イベント終わった後のこの帰り道も映画イベントのワンシーンなんだなと思いました。唐澤くんを送って、それからとんぼ返りして帰宅したのは深夜1時30ぐらいだった。年を取って徹夜することがなくなり、最後に徹夜したのは何年前か思い出せないほどだ。

 眠くって仕方がなかったけど不思議な興奮状態だった。今日見た作品群が脳内で断片的に再生されて。あの監督はこういうことをしたかったのかなとか、制作意図を考えたりしながら眠りに落ちていった。

 とりあえず一区切り・・・。

 

 

過去未来通信主演の唐澤一路さんと

唐澤くんと その2

第四世界の会場に飾られていたポスター。参加監督サインしていった。




 

■今後
 今後は「過去未来通信」もより多くの方に観ていただけるよう、インターネットで有料配信をしたり、合同企画みたいな形で上映できるようにしていきたい。映画は長期間に渡って色々な形で上映を続けていかないと制作費用が回収できない。

 うちは個人なので、会社組織ではないので必ずしも黒字化しなくてもいいのですが、、、。
 まあ、今後の目標を立てるのは大事なことなので。金銭面の意味ではなく、作品を活かすという意味で今後も上映に関して色々試行錯誤していきたい。ゆっくりマイペースでもいいので。

 私の周りのインディーズ映画作品でも5年前、10年前、はたまたそれ以上古い作品が何度も色々な場所で上映されているのを見かける。映画はワインの何年ものみたいに、時が経つにつれて独特の熟成がなされることがある。それは監督が当時生きていた頃に考えていたことや、時代性が反映されていたり、未来の人たちがその当時と違った解釈をすることなどから様々な「魅力」が付け足されていくことになる。

 だから映画は作りっぱなしはもったいない。時間が立っても何度も色々な場所で上映されて良い。何度も観た人にとってもまた観られるような機会があってもよい。

 

 

 

■御礼

 企画してくださった二階堂さん、そしてイベントスタッフさま皆様に感謝の気持ちを伝えたい。どうもありがとうございました。色々なところで映画への愛情を感じられるイベントでした。

 会場のシネマ・ジャック&ベティ様。ご来場いただきましたお客様。第四世界のスタッフ皆様。出品された監督の皆様。過去未来通信のスタッフの皆さま。宣伝を手伝って下った皆様(RT含む)。ありがとうございました。お疲れさまでした。またどこかで会いましょう。

主催者の二階堂方舟さん(右)と



 

■他作品の感想

先日の「#第四世界」(インディーズ映画上映イベント)の9月8日上映回の作品の感想を書いていきたいと思います。(@横浜 シネマ・ジャック&ベティ)
(同じ出品者として評論する立場ではないと思うので、あくまで個人の感想で、好き嫌い程度まで)

 

「まよなかのいぬごやレース」MATSUMO監督。
人々が寝静まったあと、犬の(犬小屋が飛んで)大レースが始まるという、、、なんともトイ・ストーリー的な展開。(人の不可視領域に彼らの世界があるという点で)スピード感が良かった。振動・風感がもっとあってよいが、個人レベルでこのレベルはすごい。

まよなかのいぬごやレース



 

「10年を経て」木澤航樹監督。
ある女性へのインタビュー映像。10年前に宿った子を「産まない」と選択した女性。この度、再び妊娠をした。女性は「産む」のか「産まない」のか。
そもそもドキュメンタリー映画かが気になった(これはフェイクだった)。もしドキュメンタリーだったら面白かった。

10年を経て

 

「旧スク万能論」 NRF(BMSの片隅で性癖を語る)監督。
映画というよりはニコニコ動画的なノリのアニメ。PVっぽい感じかな。旧スクール水着がいかに万能なのかを歌と動画で力説してくる。とにかく笑ってみるの正しい。真面目に観てはいけない。

旧スク万能論




 

 

「陛下と丞相、あと皇后」 岸本真季監督。
古代中国が舞台かな?現代のオタク文化(声優とか、幼女とか、アニメとか)界隈が趣味の皇帝とその周辺の物語。これも真面目に観てはいけない。短時間でかなり多くの情報量が波のようにやってくるので理解追いつかない。なんか勢いがすごい。

陛下と丞相、あと皇后



 


「Ημίθεος(ヘミテオス)」tama-style監督。
実験映像っぽい感じ。短時間で色々な単語が出てくるので、宗教・哲学・科学・医学などに詳しい人が見るとめっちゃ面白いと思う。題名は日本語訳で「半神」でいいのかな?格好いい映像と音楽。内容よりも題名が読めなすぎることが気になってしまう。

Ημίθεος(ヘミテオス)



 

 

「双翅軍雷攻」塩原璧(ペキサイト)監督。
題名は「そうしぐんらいこう」と読む。題名は難しいけど内容は3DCGのアニメで見やすい。小学生とか好きだと思う。タイトルで損してる。虫の特攻部隊の物語。近年の世相を風刺していると監督が言っていたけど難しい内容ではなく、見やすい。

双翅軍雷攻

 

 

「Like a Bubble」小津葉郎太監督。
失恋をテーマにした作品。好きだった彼女の思い出の場所を巡る物語。神奈川県愛川町でロケをしたらしく、私が知っている場所がたくさん出てきたので親近感がすごいあった。前半は写真作品っぽさが出てて、監督写真やってる人かなと思ったら実際にそうだった。

Like a Bubble



 

 

・9/8の全体的な感想
 8作品中5作品がアニメで、アニメ色が強い回だった。肩の力を抜いて気軽に楽しめる作品が多かった。シリアスな作品もあったけど、全体的にコメディーな雰囲気だった。
 個人的に「まよなかのいぬごやレース」が好きだった。なんで猫だけ二本足で立ってるの?とか。じじいワンコがあんな大きな物食べれないでしょとか、ツッコミどころ満載でツボでした。レース中のスピード感はもちろんですが、レース中以外もテンポよく展開していく所が見やすかった。

 

 

■その他、個人的に思うこと色々

・劇場を安く借りることの兼ね合いだったのかもしれないが、レイトショー枠(20:15~)のイベントには色々思うところもあった。

・レイトショー枠だと夜10時ぐらいに上映終わり、その後舞台挨拶なので必然と全プログラム終了が夜11時過ぎになってしまう。よって、遠方の方は泊りがけで無い限り来場は難しい。興味があっても来られなかった方が多数いたかもしれない。

・ほぼ毎日二階堂作品が上映されていたので、二階堂作品と相性の悪い人にはきつい。

 (個人的にはこういうイベントはアリだと思ってる)

・劇場外に撮影スペースを設けたり、ポスターへのサイン、物販に関してもパンフレットなどのグッズを作成するなどイベントを盛り上げるガジェットが仕掛けられており、参加者を楽しませようという心意気が伝わってくる。

・二階堂さんの熱い映画愛が伝わってきた。

・その他、各映画監督の制作に対する熱情が伝わってきた。

・お客さんの感想をまとめて見られる「場所」があるといいかもしれない。交換日記的な楽しみができるような。