損失

私は記憶力が悪い。その事があらゆる人生の出来事において不利に働いてきた。
だから私は忘れてしまう、過去の足跡としての記録を重視して来た。それは周りの人にとっては奇怪に映った出来事であっても私にとって生きる事の意味と同等に扱う事項であることを承知していた。
最初世界の全ての謎を解きたいと思った。しかし知的好奇心より、一人の血肉の通った人生を優先したこと。その決断はさらなる体験的熟考となって私に解答をもたらした。
個としての究極形態を求める事は引いては全体(宇宙)の問題とつながる事を輪廻の輪から学んだ。
それらは自然の法則を模倣したものであった。
その自然の法則と世界の真理に因果関係を見出だした古代人の智慧を私はただ驚愕する。