以下、東芝デジタルメディアネットワーク社 藤井美英社長のお言葉

ハリウッドの意向
東芝デジタルメディアネットワーク社 藤井美英社長は、ハリウッドの意向として、海賊版による損失を防ぐため早く著作権保護の強力な規格に移行したいというニーズを挙げた。また、コンテンツをプレスする立場としても、メディア製造ラインを現行DVDラインから流用でき、製造コストも現行DVDと変わらないHD DVDにメリットがあると主張する。メディア製造コストはたとえ数十円の差としても数千万枚製造するとなれば、かなりの金額の差が生じると指摘。HD DVDであれば、DVDの7年の歴史がそのまま生かせ、この信頼性はハリウッドにとってもメリットだとする。

Blu-ray vs. HD DVDの戦いではない
同氏は「Blu-ray vs. HD DVDの戦いではない」と前置きしたうえで、家庭での記録は大容量HDDへの録画が一般的になっていると市場動向を指摘し、「600GBのHDD搭載モデルも市場に出ている。HDDがメインで、メディアはアーカイブ手段」と語り、同社としては当面ROMをメインに考えているという。

また、Blu-rayHD DVDの2つの規格が存在することに対して、同氏は「ハリウッドがみなBlu-rayと言えば、Blu-rayでいいと思っていた」と規格統一を模索していた経緯を説明する。しかし、「顧客の利益を考えればHD DVDの方が、コスト/DVDとの併存性に優れる」。現行DVDとの互換性の高さが、メディア製造ラインの設備投資を抑え、DVDと互換性のあるHD DVD再生機器の製造も容易にする。世界レベルではDVDで充分という市場は今後も存続し、現行DVDとの併存性に優れるHD DVDの強みを「リアリティ」の強みと主張する。

今回のハリウッドとの合意内容については、「公開しないことになっている」とした上で、Blu-ray規格に対して排他的かとの記者団からの質問に対して、ハリウッドからは「『シングルフォーマットがmustだよ』という言葉は聞いている」と述べ、「映画コンテンツがダブルフォーマットになることは顧客にとって良くない」と微妙なニュアンスを伝えるのに止まった。ハリウッドとの合意に関して、期間はとくにないという。