夢の力

朝起きた後五分ほど、まるで夢の中にいるような気持ちのいい時間帯がある。
通常しばらくのうちにその気持ちの良さは消え、現実に戻される。
その夢心地をすごく長く感じる時がある。それも一時間や二時間ではなく、丸一日眠るまで。薬や酒の力ではなく。多分、自力で。
そのような日は祝福された日だ。様々なイマジネーションが沸き起こる。制作はこのような時に転換を迎える。この世界のケーブルが脳内でつながって行くような感覚を覚え、疲れも集中力の下にひれ伏す。
何か新しいことをやるときはきっとこのような日がいいのだろう。
いつだったか僕は臨死体験をしたことがある。僕にとってその記憶はトラウマにならなかった。僕はその経験を得て「運命」と「命」を確信した。自身の命(存在)に信頼をおくようになった。
そしてあの日から夢の中にいるような感覚に襲われるようになった。その感覚は僕の臨死体験と酷似している。
僕の命が僕の命を押し上げている。栄養不足の体は復讐を企てているのだ。死が近付くたびに体は意識を押し上げることで生き残ろうとしている。僕の体も精神も決して優しくはないのだ。事に死に対する反発が異常値。
だからせめて人には優しくして生きていきたい。あまりにも難しく、一生の課題だけど。