晴天の類い稀な力は死に近づくほど発揮された。
幼き日より死そのものと対峙してきた彼は人一倍魂で反逆した。
何度も死神を遠ざけた。物神はその姿を見るたびに晴天の魂をいとおしく思った。
生きることと悲しみは切り離せない。
別離もまた前向きな生き方であった。
物神生物学的には存在しない。だが、確かに「存在」しているのだ。世の摂理は例外ばかりだ。
物神達は人間のルールとは別に美学を持っている。
彼らはDNAによる子孫を残せないため、こと存在に対する認識および執着は鬼気迫る。