清里現代美術館

長野県、清里に現代美術館がある。
なぜ、そんな場所に?と疑問に思うのだが、おそらく館長が自分のコレクションをきちんと保管、またお客さんに鑑賞してもらうための環境を作ろうとしたのだろう。
もともと東京出身らしい。
そこにはクリスト、ボイス、フルクサス、ケージなどの作品がある。
行くとびっくりする。ボイスやケージに関しては日本一のコレクションだと思われる。
今年の夏もそこを訪れ、3回行った。
毎回館長さんが熱い。美術に対する真摯な眼差しとそれを人に伝えていこうという態度。
その館長さんと話をしていると色々学ぶことがあるのだが、今年話していて一番心にグサリと刺さったのは
「分かったとか、分からないという言い方は傲慢」という事だった。
美術が分からないという時、殆どの場合、自分の無知または相手に対する分かろうとしない態度がある。


何でも分かったような態度。
もしくは色々なものを分からない、と言って、自分が相手を理解しようとしない態度。
どちらも傲慢なのだろう。気を付けなければならない。
沢山見るということは、多くのものを雑に見ることではない。
沢山見るということは沢山の時間をかけてみること。
良く見ること。
とにかく見なさいと館長さんは言った。
この言葉は深い。
見ているようで何も見ていない僕たち。
分かっているようで何も分かっていない僕たち。
油断するとすぐに傲慢になる僕たち。


だから自分のことを棚に上げて評してしまう。悲しいかな。良く見ること。よく聞くこと。よく理解すること。
自分の不十分さを棚にあげてはいけない。


来年もその美術館に行きたい。
作品を見るだけではなく、館長の話を聞くことセットで。