紙飛行機少年6

紙飛行機少年、空は晴れて学校に通う事になった
空にとって、楽しみであり、恐怖でもあった。人が段階を経て人の中に入って行く事を瞬間的に移動して行わなくてはならない。
少年は心で感じていた。同世代の子供たちの中に放り込まれる喜びと恐怖を。
空は母親に手を引かれながら高校に行った。あんなに外の世界に憬れたのに、今は余りの刺激の強さに眩しさだけが瞳を貫く。
空が家を出ないので母親が連れて行く事になった。
電車の乗り方さえ知らない。切符の買い方も、定期券の買い方も知らない。吊り革につかまる事も、上り下りの言葉の意味も、各駅と急行の違いも分からない。
母親は空を外の世界に連れて行くことの残酷さを承知していた。
だが母親は心を鬼にして空を高校に連れて行った。人は人の中で生きて行かなければならないのだ。
いまは空にとって辛い事であっても早く適応させなければならない。
空は高校の校長室に通されて校長先生、担任と母親の四人で今後の事を話し合った。
そして入学が決まった。