ドキパグ

美術家であるから毎日ドキドキしていられる。


嬉しい事も悲しい事もある。誤解やすれ違いもある。
パーフェクトワールドじゃない。
だがしかし嬉しいから幸せなのではなく悲しいから不幸なわけでもない。
一貫性があるから正しいわけではないし、一貫性がないから間違っているわけでもない。そういった種々の価値観の良さをわかる。美術をやっていたからこそ。


嫌いなものをただ避けて嫌いのではなく、嫌いなものの理由さえ探す。そして嫌悪なるものを見つめ、胸が痛むのを感じた。
無視をするのではなく、避けるのでもなく、不愉快な作品を鑑賞するように世の中を見ようとした。
作品鑑賞は世の中を見るための訓練でもあったのだ。


悲しい時は胸が痛くて、痛みは肌に伝染して食べ物も美味しく感じなくなる。
けれどもそれは僕が何より生きている証拠。生きているから感じる事が出来る。


悲しみは他人への痛みを教えてくれる。だから悲しみを知らない人は不幸だ。
痛みを知るから慈悲を心の中に宿せる。
慈しみ、他人のために悲しむ事が出来る。


何よりジャンル・素材を選ばず想いを形にすることが出来る。
それは素晴らしい事だよ。実材も不在も幻想も夢想も力になる。
信じればどこまでも行ける。想像に限界はない。


自分にとって都合が良いことばかりじゃない事がいい事なんだ。
葛藤が生むエネルギー。火花が散る。美しき毎日。
差別が区別に変わる。