3人の王様1

彼の前前世は「偉大な王」だった。彼が生まれた事で世界が変わった。彼はあらゆる博愛と公平さを持って世界を治めた。


その次世、ある国の都市で孤独に生きる戦士として生まれた。
孤独が故に世界のあらゆる愛を感じて生涯を閉じた。誰にも愛される、太陽の臭いがする男だった。


そして今世。彼は自らが王の魂を引き継いでいることは知っていたが何者であるかは知らない。名前はイアン。戦士の魂に引き寄せられるように、ノトリアスクと言う場所で生まれた。


彼が世界の中でどのような役割を持っているか、誰も知らなかった。それ故、周囲は彼に「役立たず」と呼んだ。
彼が32になるとき、見知らぬ屈強な男が膝間付いた。
ダニーと名乗る37の男はイアンに涙を流しながら一生の守護を誓った。その証のために眼帯を付け、片目を封印した。誓いの覚悟を示すためである。
そしてダニーはイアンのソウルメイトであることを打ち明けた。


イアンはダニーに「風」の名を与えた。ダニーは霧を振り払う強風。希望の種を運ぶ風なのだ。

風はさらなる同志を探すために消えた。


程なくしてイアンの元にリアと名乗る14歳の少年が現れた。
彼は純粋であるが故に尊大で、愛と憎しみを内包する。
リアはイアンに抱きつき、小さな頃に遊んだブランコの話をした。イアンはリアに「水」の名を与えた。
彼の純粋さはあらゆる汚れを洗い流す水。命の始まりとなる水。


リアはダニーを探す旅に出て消えた。