写真は風景を捉える術。
写真は時間を捉える術。
写真は視点を捉える術。
写真は光を捉える術。
写真は影を捉える術。

空間を切り取り、納める術。







芸術はスポーツに似ている。
もしくは武士道に似ている。
自分の中で本当にこうなりたい、ああなりたいというイメージがある。
例えば、世界で一番高い山に登りたいという欲求。
世界の秘密を知りたいという欲求。
それは自分を追い詰め続ける作業。
道は遙か先で、終わりはない。
ある部分では人を避けて、時間を作る。
禁欲にならざるを得ない。
そしてとても素朴なものが出来上がる。
派手なことはない。
恐ろしいほどの、時間をかけてやっとこさ、たどり着く。
体に染みこませるようにして、思想、感覚、感情、知覚、人格を身につける。


筆を動かした一瞬、
シャッターを切る一瞬、
鑿で削る一瞬、
指を動かす一瞬、
言葉の断片、
彼らの経験が一瞬に宿る。
その「一瞬」は長い時間が育てた「一瞬」。



私はその一瞬の為に長い間、鍛え続けている。
そのために掛ける時間を惜しいとは思わない。