誇り

美術家であることを誇りに思ってる。
収入もなくて、貧乏で、着飾ったり、遊びに行ったり、派手なことは何もない。
年下の後輩は車を5台変えた。僕は1台も持ってない。今日は2食しか食べてない。1食の日もある。
友達の誘いの半分くらい断わって、やるべき事に没頭してる。
だけど、誇りに思ってる。何よりも誇りに思ってる。
この気持ちは一生失いたくない。誇りを失うことは何よりも悲しいこと。
自慢できるものは何もない。だが、誇りは持ってる。


まだ美術家としての仕事は始まったばかり。これからなんだ。
やっとスタートラインについた。長かった。
本当に欲しいものは中々手に入らない。
インスタントになんでも手に入る、この時代に、僕は時代に逆らう。
本当に大切にしなければならないものはいつの時代も苦労して手に入れるものだと気付く。


やはり糸が切れないだろうと思う。
たくさんの人に支えられ、たくさんの人を支え、そういう中で生きていることが分かるから。




今日も二食。
やるべき事に集中していると気がつくと時間が飛んでいる。
もう夜だ。
Tシャツの事を話す下らない時間(楽しい一時)もなかった。
殆ど事務的な事ばかりで1日が終ってしまう。
お節介でその代わりに見返りもなく、損な性格だ。まあそんな自分にもう納得している。

最低ラインの事をやることでは満足できなくなっている。
何でもベターなものを求める。グッドなものより一段階上げたい。

自分も含め周り全てを押し上げたい。
やらなくてもいいことばかりやっている。
損や得を越えて、皆が良くなる方法を考えている。
今、多少相手が不愉快であっても先々役に立つと思うことを強いる。
目的の為なら悪役にもなろう。僕を恨め。あなたたちが僕を恨んでいる時間あなたたちは押し上げられている。

あなたたちは僕が出したタスクに苦しめ。乗り越えよ。それがあなたたちの力になる。


表面的な優しさなど求めぬ。与えぬ。簡単な言葉など吐かぬ。


もう与える側になってしまった。結婚もしていないのに後続に続く道を舗装しなければならぬ。
そう思ったものが、気が付いた者がやらなければならぬ。
因果だ。
僕の遠い先祖が僕を見ている。僕の背中には100万の霊が乗っている。道を違えぬ。僕は時々意識を失い、全てオートマチックに任せる。積み重ねてきた積年のスピリットに任せる。
後ろを振り向かなくてもいいよう、守ってくれる人がいる。大きくて暖かい。
生まれた頃から守ってきてくれた。魂は連面と続く。
疑問はない。迷いも。一個人としての迷いも大きな流れの中では一滴の起こした小さな波に過ぎぬ。


僕はすべてに感謝する。先祖が重ねた徳を味わっている。だから僕個人の損を越えて本当に大事だと思ったことに奉仕出来る。
僕の損は長い歴史の中で育てられた、幸福の裏返しなのだ。
損をもってしてなお得なのだ。だから何も惜しくはない。
ありがとう、ありがとう。