ゴッホの手紙から

『籠の鳥も、春になれば、何かの目的に仕えねばならぬところだとはよく承知している。何かする事があるとは良く感じているが出来ないのだ。それは何か。彼ははっきり覚えていない。
彼は漠然とした考えを抱き、独語する。他の鳥達は、巣を作り、卵を生み、子供を育てると。そして頭を籠の横木にぶつけてみるが、籠は相変わらず眼の前にあり、彼はその苦しみの余りに気が変になる。
通りかかった他の鳥が言う。この怠け者を御覧、気楽にやっているらしいと。
さよう、囚人は生きている、死にはしない。彼の内部に何が起こっているかは、外から見ては解らない。彼の健康は大丈夫だし、陽が当たれば、多少は元気にもなる。が、やがて、渡りの時がくる。メランコリアの発病――籠の世話をしている子供が、何でも欲しいものはある筈なんだ、と言う。
だが、彼は籠を透かして、雷雨をはらみ、暗雲低迷する大空を見据えているのである。』
(ゴッホの手紙から)



書いていたらゴッホの言葉を思い出した。
怠け者に見える自分は内部では戦っているのだというような事を
ゴッホは何度も言っていたように思う。
彼は絵を描く事に対しても宣教師としても真面目だった。