小さな願い

今を生きている。
僕は今を生きている。様々な時代や様式、スタイルを超えて。
あらゆる生き物が不自由を抱えている。
とても悲しい事だ。生きる意味を探す日々が続く。
だがある日、気付く。同じ悲しみを背負った同族も何一つ共有出来る事がなかったことを。


絶望が身を包む。
それで生きる事を諦めなかった者はどうやって生きていけばよかっただろう。
その証として、誰かの幸せを願った。
皆から否定されても。己が生きるために。自らの死を肯定することは何よりも簡単なこと。


生まれた事の意味に応えたいからただ死を否定するしかなかった。
生きるのだ。立ち止まる事を私が許さなかった。




貴方に合わせられなくてごめんなさい。
幾度となく貴方の事を考えました。
貴方の事を考えて何時間も寝られなくなりました。
真面目に考えました。そしたら答えが見つかりませんでした。
あらゆる理想を考えました。貴方と私が同じになりたかったから。あなたから学びたかったから。



ただ懸命にその瞬間を輝かせようとして失敗した。猛者よ、私は膝付く。
ひたすら敬服する。
体に経験を宿し、人に伝えど、共有ができない。


だから人は懸命に生きるのだ。
体に刻んだその時を伝えるために。
その表し方が上手かろうが下手かろうが尊敬する。ただ義のために、伝えようとしたそのために。


ただ同志を欲したのだな。己の無力をもって自覚しながら諦めぬ、不屈の精神に敬服する。
肉体も精神も魂をも超えて。貴方に共に歩いていながら共有できない事だけを思う。


ただ共に歩きたかった。私はささやかな願いを胸に抱く。