紙飛行機少年「空」

ryuusinn2007-12-13

少年は病弱で
床から起き上がることも出来なかった
医者からは7歳まで生きられないと言われた

少年は
ベッドから起き上がれないので
紙飛行機を作った
紙飛行機でどこまでも飛べた
紙飛行機を使った想像遊びで
世界のどこまでも行けた


少年は6歳で人生を悟った
迫り来る死の予感の中、
人生の儚さと出会う

その中でも紙飛行機を作ることと
飛ばすことが毎日の楽しみだった


少年は
紙飛行機にひたすら熱中した


今日死ぬかもしれない


そう思い、少年はいつも全力で
紙飛行機を飛ばすのだった


少年は7歳で死ななかった


少年は紙飛行機を飛ばし続けたことが
自分の体力を養い
それが自分の命を救ったのだと考えた

少年にとって、
紙飛行機を作ることは
彼の人生そのものになったのだ


少年は
紙飛行機職人になろうと思った


世界で一番
紙飛行機を
遠くまで飛ばすことのできる職人であり
世界で一番
遠くまで飛ぶ紙飛行機を作ることのできる職人である


紙飛行機を作る職人であると同時に
飛ばす職人であることを目指した


少年は夢を見た


それから
少年の瞳から死の光が宿ることはなかった