皿井さん特講

日本大学芸術学部、美術学科彫刻コース出身の先輩、皿井まゆみさんの特別講義がありました。大学卒業後、アメリカに渡り美術の学校に再び入り、卒業後もニューヨークで活動している作家さんです。自作についてと、アメリカでの美術の動向や日本との違いについて、皿井さんが見てきたこと聞いてきたことなどを中心に講義していました。
アメリカには美術のマーケットがあるけれど日本にはないという話。
日本には美術の文化が育っていないという話。

僕は日本で伝統的にマーケットがあり今もそれなりのやっている人がいて、それで生活ができるジャンルは着物、焼き物、鋳物、木彫り、刀剣防具(飾りもの)、骨董(総称的か)などのいわゆる工芸職なのではないかと思った。今の日本における美術というのは明治になって外国から入ってきた西洋風の文化であってそれは日本になじまなかったのではないか。
では、美術は日本において意味がないのだろうか。何の効力も持たないのだろうか。実際のところ、美術館に行くとたくさんの人に出会う。人々は美術館に行く。美術に何らかの期待を寄せている。中学や高校に行けば美術の授業がある(現代は選択授業になっているようだが)。
工芸館はどうだろうか? 人々は来るだろうか。学校の授業でやっているだろうか。一部の専門的な学校以外ではやっていない。しかし、それでも今までの伝統があるからか、工芸職のほうが「もうけ」がある。美術では相当の「スター」にならなければ喰っていけない。
いや、実際はスターであっても自作を売ったお金だけで生きていくのは本当に大変なことで実際は教職員などをやりながら制作をしている場合が殆どだ。

今日はそこらへんのシビアな話、美術界の現実はどうなっているかということについて話を聞きました。工芸の話までは出なかったけれど。

まあ、美術というのは無用の用といいますか、儲かるからやるとか儲からないからやらないということではないのでしょうね。
うちの父ちゃんが剣道を何十年も続けているのと同じことなのだと思います。