彫刻の素材について

一言に彫刻と言っても様々な素材で構成されています。
ミニ彫刻を作る際、参考にして下さい。これらに挙げる例の他、身の回りにある全ての物が彫刻家にとっての素材で在り得ます。


〇自然物---人類が彫刻を始めた時から存在する。
・土、粘土。焼物用、油粘土、紙粘土など。
誰もが一度は土遊びを経験した事があると思います。彫刻にとって最も基本的で、扱いやすい素材です。
・木。クス、カシ、ヒノキ、キリ、スギ、サクラ、カツラ、マツ、クリ、タケ、カエデ、ナシ、シナなど。
日本人にとって伝統的な素材です。木の種類は様々で、種類によって難易度が変わります。初心者は木肌の柔らかいマツ、スギ、などが良いとされます。湿気を含むと形や大きさが変わるので、最も乾いている時に彫刻するのが基本です。大切に保存すれば千年以上持つということは日本の仏像が証明しています。
・岩、石、砂、石膏、人工石など。固いので彫るのが大変です。その分とても耐久性が高いです。石膏はブロック状から彫られる場合と型取りに使われる場合があります。
・貝、骨、革、毛、爪、牙など動物の一部。どちらかというと工芸のジャンルで親しまれている素材です。
・花や草。花びら、葉、茎、花粉、糸、布など。
・水、霧、雪、氷など。
・光。太陽、月光の他、電灯や火の光もある。彫刻よりは都市計画や建築で意識される。
・野菜、果物。殆ど彫刻として使われない素材です。腐るので、長持ちしないのが理由でしょう。過去のミニ彫刻で使われたようなので列挙しました。



〇人工物---元は自然の中から抽出されたものであっても人間に加工された状態で身近にあるものはこちらのカテゴリーに入れた。

・紙。折り紙、画用紙、厚紙、ダンボール、壁紙。とても扱いやすく、価格も安いので設計の段階で使われることが多い。紙の元の素材は植物の繊維です。
・金属。鉄、鋼、銅、青銅、金、銀、アルミ、鉛、チタン、針金など。扱いは特殊ですが、石とは違った強固さを持ちます。一定の細さを保ったまま宙に浮くことができる。
・ガラス、鏡。ガラスは技術が特殊なのであまり使われていません。工芸寄り。ガラス職人が彫刻家になったとか特殊な理由がなければ、知識もないでしょう。鏡はよくトリックとして使われます。
・プラスチック、発砲スチロール、アクリル板、ゴム。
・既製品。レディメイド、コラージュ、
・ロウ、ロウソク。
・ゴミ。人類の負の部分と思われがちだが、彫刻家にとっては魅力な素材であるらしくハマるとゴミ場をウロウロしだすことになる。ピカソをはじめ今でも数多くの芸術家を魅了し続けている。
・写真、ビデオ。100年ほど前から出来た素材で他の素材と比べると新しい。デバイス(機器)がないと見られないという特徴を持つ。
・コンピューター、プログラム、コンピューターグラフィック、デジタル映像。まだ発展途上であり、多くの芸術家が模索している素材。どれだけコピー(コピーされたものからコピーしても)しても劣化しないという特徴がある。



〇身体
・体の動き。ダンス、パフォーマンス、歩く、ハプニング→物として残るのは写真やビデオ
・声。歌、演説、言葉、詩など。
・行為。善行、チャリティアート、自然を守る、社会を変えるなど
#身体を素材とした作品の特徴は即興性が高い事、物質としての作品は写真や音声、動画などでしか残せない事。サーカス、演劇、ダンス、などの要素と混ざりあっている部分がある。


〇彫刻の素材と関係性を持つテーマ
時間、空間、自然、宇宙、社会、命、生、死、存在、現実、真実、夢、動感、量感、プロモーション、重力、浮遊感、リアリティ、自由、エネルギー、主義、運動、発見、意識、構築、直感、直観、感覚、心、精神、神、力、世界、孤独、希望、美、視点、憧れ、コミュニケーション、意図、外側、内側、感銘、感動、・・・など。

自分がどのようなものを作るか、どんなことをしたいかによって素材が決まることもあります。自分の好きな素材で作ろうとして作るものが決まる時もあります。